講師紹介 木戸恵子 目白大学留学生別科非常勤講師 元(財)海外技術者研修協会(AOTS)

第3回 『みんなの日本語初級』周辺教材の使い方

前回は『みんなの日本語初級』の練習問題についてお話をしました。
今回は、『みんなの日本語初級』に準拠している教材とその効果的な使い方をご紹介します。

1.『みんなの日本語初級』シリーズ

『みんなの日本語初級』には、限られた時間で効率的に学習や授業が進められるように、多種多様な教材が整備されています。

これらの教材は、日本語教師が日々の授業を通して工夫や改善を積み重ねて開発してきたものです。
また、教材によっては学習者の便宜を図り、必要に応じて数カ国語の翻訳が付いています。
CD、イラストシート、DVD等視聴覚教材が充実しているのもこのシリーズの特徴です。
各教材の詳細についてはスリーエーネットワークのホームページ及び図書目録でご確認ください。

2.  教材を使うのはいつ? どんな目的で?
それでは、これらの教材はいつ、どんな目的で使うのでしょうか。基本的な使い方の例を表にまとめてみました。

3.使い方の事例
上記の教材の中から3つの教材の使い方を紹介しましょう。

1) 『みんなの日本語初級Ⅰ 導入・練習イラスト集』
教師は、文型の使用場面を説明しながら、新しい文型を導入することが多いですが、この教材にはその際に役立つ導入用や、その後の練習用の イラストが数多く掲載されています。
『みんなの日本語初級Ⅰ 導入・練習イラスト集』第13課 43ページ
①文型1 名詞がほしいです。  ②文型2 ~を(が)動詞たいです。

このイラストを使って、学習者と対話しながら、文型の説明・導入をします。その過程で学習者は「こういうことが言いたい。どう表現したらいいのだろう。」ということを意識します。

②の導入例(教師がイラストを示しながら)

教  師: ここはどこですか。
学習者: 事務所(会社)です。
教  師:  この人はわたしです。わたしは 働きます。何時ですか。
学習者: 11時40分です。
教  師: そうですね。わたしは今朝時間がありませんでしたから、朝ごはんを食べませんでした。おなかが…
学習者: おなかがすきました。
教  師: おなかがすきました。昼ご飯を食べます…ほしいです。昼ご飯を(が)食べたいです。

この例はまだ第13課なので、学習した言葉や文型数が少なく、どうしても不自然な日本語になってしまいます。
ですが、この部分はあくまでも文型の導入が目的なので、あまり無理をせず、日本語の自然さよりも学習者の理解を優先させ、既に学習した日本語を用いて文型を導入するのがいいでしょう。
課が進むにつれ、学習した内容が増えるのでより自然な日本語で導入や話す練習ができるようになります。

2) 『みんなの日本語初級Ⅰ 書いて覚える文型練習帳』

この教材にも、イラストが数多く使われています。単文やまとまった文章を書くことによって、語彙や文型などを正確に定着させることがこの教材の目的です。教科書とは違った多種多様な練習問題が掲載されています。

『みんなの日本語初級Ⅰ 書いて覚える文型練習帳』
14課4 66ページ

18課5 95ページ

類似表現や副詞、接続詞など文法項目の整理や確認問題のページも充実しています。

『みんなの日本語初級Ⅱ 書いて覚える文型練習帳』
31課8 40ページ

まとめ68ページ

この教材を授業中に使う場合は、話す練習をしてから、まとめ・復習としてこの教材を使用し、単文などを書く場合が多いですが、その反対に、文型導入後、早い段階でこの教材で単文を書いて形や意味を確認・定着させてから、発話練習に移行していく場合もあるでしょう。

3) 『みんなの日本語初級Ⅰ 初級で読めるトピック25』

初級段階において学習者が楽しく読める文章を探すのは容易ではありません。学習した日本語に、教科書では勉強しない日常語彙を少し加えて、興味深く、おもしろい文章が読めるようにしたのがこの教材です。(新出の日常語彙には英語、中国語、韓国語、インドネシア語、タイ語の翻訳が付いています。)

『みんなの日本語初級Ⅰ 初級で読めるトピック25』第15課 30、31ページ

歴史、科学、文化などトピックが多岐にわたり、読んで楽しい内容です。
読後にいくつか内容理解を確認する問題があります。
更に、トピックに関連したことについての意見交換や情報交換も設定されていますので
読むだけではなく、自分の意見を言った り、他の学習者の考えを聞いたりする活動もできます。

このように『みんなの日本語シリーズ』の教材には、様々な活用方法があります。
学習者やクラスの状況に合わせて、ご活用ください。