入江 泉(『きほんから学ぶ! 英検®準2級 合格ハンドブック』『1日1枚! 英検® 問題プリント』シリーズ 著者)

既刊の『1日1枚! 英検® 問題プリント』シリーズ(5級、4級、3級、準2級、2級)の好評を受け、『きほんから学ぶ! 英検®準2級 合格ハンドブック』が誕生しました。このハンドブックは、『1日1枚!』とセットで使っていただくとより効果的に学べることを念頭に作られています。そこで、本稿では、準2級合格に向けた学習の手順をもとに2冊の活用法をご紹介したいと思います。

◆学習の手順◆
手順1 準2級の直近の過去問を解き、苦手分野を知る
日本英語検定協会の公式ウェブサイト(https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p2/)では、過去3回分の問題、解答、スクリプト、音声が無料で入手できます。試験対策として最初にすることは、直近の過去問1回分を解いて、設問形式を知ることです。このとき、規定の試験時間を測って取り組んでください。準2級の問題を初めて解く場合、時間内に全部解けなくてもかまいません。どれくらいの時間で全問解かなければならないかを実感するのが目的です。
解き終わって答え合わせをしたら、どの分野(大問)が得意・苦手かを確認しましょう。得意な分野よりも苦手な分野を伸ばしていきます。

手順2 『きほんから学ぶ! 英検®準2級 合格ハンドブック』に取り組む
本書は、一次試験の筆記(大問1~4)、英作文(大問5)、リスニング、二次試験(面接)の順に、問題形式を確認したあと、「Let’s TRY」で例題を通じて問題の解き方を会話形式で解説し、「練習しよう」で本番形式の問題に取り組む形式になっています。

「Let’s TRY」(本書p.15より引用)

「練習しよう」(本書p.28-29より引用)

本書は全体を通して3人の生徒と先生の会話がストーリーのようになっているので、最初から順に読むことをお勧めしますが、時間を短縮したい場合は、手順1で確認した「得意な分野」は読み飛ばしてもかまいません。

手順3 準2級の別の過去問を解く
『ハンドブック』の学習が終わったら、解き方はもう分かっているはずですので、ここで別の過去問を解いてみましょう。手順1のときよりもたくさん解けているはずです!

手順4 『1日1枚! 英検®準2級 問題プリント』に取り組む
次に『1日1枚!』に取り組みます。本書は、「トレーニング」と「ミニテスト」の二部構成で、「トレーニング」編は、難易度は実試験と同じですが、設問形式を少しアレンジして負担を軽くした小問から作られていますので、『ハンドブック』を終えたあとではスラスラ進められるはずです。手順3でもし「まだ合格できないかも・・・」と思っても、ここで少し自信をつけることができます。

「トレーニング」(本書p.1より引用)

「トレーニング」で各大問の要点を押さえたら、「ミニテスト」に進みます。実試験より問題数が少ないですが、筆記、英作文、リスニング、面接のすべてを収録しています。

「ミニテスト」(本書p.52より引用)

手順5 ひたすら過去問を解く
『1日1枚!』の「ミニテスト」の学習が終われば、2冊を復習しながらひたすら過去問に取り組みましょう。公式ウェブサイトで入手できるのは直近の3回のみですが、市販では解説が付いた過去問を収録した書籍が多くあります。また、この段階でまだ特定の苦手分野があれば、副教材を入手してその分野を伸ばしましょう。たとえば語彙力が足りないなら英検専用の単語集、文法が苦手なら高校生向けの文法書といった具合です。

◆注意すること◆

 教材選び
試験問題の範囲は同じでも、傾向や難易度は少しずつ変化があります。よって、過去問は必ず最近の問題を入手しましょう。同様に、市販本も注意が必要です。発行年度を見て、できるだけ5年以内に作られた教材を使うようにしましょう。

 語彙力の増やし方
筆記問題は、文法力よりも語彙力が重要です。そういう意味では、文法を完全にマスターしていない小学生でも、適切な語彙力があり読んで・聞いて大意が分かれば解けると言えます。大問1の単語問題は例外で、単語を知らなければ正解できないため、ひたすら単語を覚える必要があります。ここで注意したいのは、大問1で出る単語はそのほかの大問で出る単語と傾向・レベルが異なるため、大問1で出る単語にしぼって覚えることです。そのためには、市販の単語集で大量の単語を覚えるのではなく、大問1の過去問で出た「正解選択肢」と「誤答選択肢」の全部を書き出して覚えることをお勧めします。同じ単語がくり返し出題される可能性が高いからです。

◆英作文・面接の対策◆
1.英作文の対策
英作文は、書いた英文を先生やネイティブスピーカーに見てもらい、どこをどう直せばよいかを知ることで上達します。添削の機会が得られない場合は、以下の方法をお勧めします。

①自分の書いた解答と解答例を比べる
 →自分のミスや、より良い表現に気づきます。
②解答例を書き写す
 →手を動かして正しい文章を書くのは効果的です。文章の構造を頭に入れましょう。
③解答例を何度も音読する
 →面接の練習にもなります!

2.面接の対策
面接も英作文と同様、面接委員の役をしてくれる人と一緒に試験の流れに沿って練習することが最良の方法です。もしその環境がない場合、『ハンドブック』と『1日1枚!』に収録されている音声、また過去問に附属の音声を利用して練習できます。

①自分の答えた解答と解答例を比べる
 →自分のミスや、より良い表現に気づきます。
②解答例を何度も音読する
 →正しい文章を何度も音読することで、理想的な文構造が頭に入ります。

いかがでしたか。手順については、『ハンドブック』を読み始めて難しいと感じた方は、『1日1枚!』を先にやってもかまいません。1週間に1回のペースで過去問を解こう!のような決まりを作るのもいいですね。難しくて心が折れそうなときは、3級の問題に戻って自信をつけましょう。今回紹介した2冊を通して、試験合格だけでなく、楽しく英語を学んでいただけたら嬉しく思います。

入江 泉先生のプロフィール
1997年に小・中学参業界の編集者としてキャリアを始め、2005年に独立。以降、学校英語や各種検定試験の対策など幅広い教材の執筆・校正者として活動。英検においては各級の過去問の解説や対策教材の執筆を多く手がけている。5年間のニュージーランド生活を生かし、特に初級英語での実用的な英語にこだわる。2021年よりデンマーク在住。