石井洋佑(『はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん』共著者)

『はじめてのTOEIC® L&R テスト きほんのきほん』を使って、基本的な英語力を伸ばすにはどうしたらよいのかをお伝えしていこうと思います。本書は公式問題集に取り組む前に押さえたい基礎をまとめた、はじめてTOEICテストを受ける人のための本になります。別の教材にも応用できるので、勉強の割に効果がでないと感じている人はお読みいただければ幸いです。

1.単語の学習法

本書には充実したVocabulary List(語彙リスト)があります。初級者は、辞書を使ってわからない単語を調べようと思っても、時間がかかるばかりか、正しい情報にたどり着けないことが多いため、Vocabulary Listをうまく活用すれば、語彙力を大きく伸ばすことができます。

多くの学習者は、単語の勉強を見出し語と意味を覚えることと思っています。ですが、効果を上げるには以下ができるように意識することが大切です。

スペリング(つづり字)を見て音が浮かぶ。
スペリング(つづり字)を見て意味が浮かぶ。
音を聞いて意味が浮かぶ。
品詞・使い方がわかっている。
文脈がわかっている。

TOEICではきれいな発音は要求されませんが、初級者の場合、単語の正しい発音を知らない(=スペリングから類推して間違った発音を覚えている)ことがあります。これはリスニングに悪影響を及ぼします。本書にはVocabulary List見出し語の音声読み上げは残念ながらありませんが、goo辞書などのオンライン辞書を使って発音を確認してください。英語のサイトですが、toPhoneticsというサイトでは、単語のみならずフレーズや文でも音声を読み上げてくれるだけでなく、発音記号も表示してくれます。正しい発音を確認した上で、①から③を、各レッスンの最初と最後に繰り返すだけで、語彙力はぐんと伸びます。

さらに、単語が英文中でどのように使われているのか、例文やスクリプトやパッセージに戻って確認することです。④形は何か、前後にどういう語が使われているのかを確認することで、文法・語法の力が、⑤文脈を確認することで、TOEICでお決まりの場面・設定・状況に関する背景知識を身につけることができます。

P.26のVocabulary Listの最初の語はlook for Xを例に挙げます。 FocusのWhat are you looking for?という例文を見ると、look「目を向ける」という動詞が前置詞forと組み合わさることで「Xを探す」となること、現在の動作を表わす<be + doing>が使われていること、社員証がなくて困っている人に声をかけている状況だということが確認できます。

2.パート別の学習法

問題の正解・不正解に一喜一憂することなく、解いた箇所の英語をモノにすることで英語力も得点力も向上します。

1)Part 1 & Part 2
何度も各センテンスをListen & Repeat(=音声を聴いた後に声を出す)をするのがよいでしょう。

Part 1は

(A) One woman is trying on a hat.
(B) There are some boxes on the floor.
(C) People are enjoying an indoor sport.
(D) Two women are sitting across from each other. 本書 P.32

のようになっているので、(A)のセンテンスを流したら、音声機器のポーズ(一時停止)ボタンを押して、声を出すというようにします。

Part 2は

How often does the bus stop here?

(A) The bathroom is over there.
(B) Every fifteen minutes.
(C) By e-mail. 本書 P.29

のようになっていますが、質問のHow often does the bus stop here? の後でポーズをしてリピート、その後、(A)を流してポーズをしてリピート、次に(B)を流して、…のようにします。
スクリプトを見なくてもこの作業を難なくできるようになるまで繰り返してください。

最後に、Part 1に関しては(A)から(D)までの各センテンスをPart 2に関しては、How often does the bus stop here?––Every fifteen minutes.というように正しいやりとりをディクテーション(=音声を聴き、スクリプトを見ずに書き出すこと)をしてください。「まさか」と思う方もいるかもしれませんが、 Listen & Repeatの後でも、かなりの人が下のような間違いをすることがあります。

× One woman is trying on hat.
× There are some box on the floor.
× Every fifty minute.
でも、恥ずかしがることはありません。間違いが見つかればそこが自分の弱点なのです。もう一度、音声を聴いて、気付いた間違いの箇所を意識しながら正しい英文を声に出す練習をしましょう。

2)Part 3 & Part 4
全文を書き出す必要はありませんが、正確に聞き取れるようになる必要があります。解き終わった会話やトークは次の形で復習してください。

会話やトークの全体をもう一度聴いてみる。
スクリプトの日本語訳をざっと読み、大きく勘違いしていた箇所があれば、アンダーラインを引く。
もう一度会話やトークの全体を聞く。
スクリプトを読み、聞き取り違いをしていた箇所にアンダーラインを引く。
センテンスごとにポーズをして、音声を聞く。意味が正確に把握できているか確認する。
②でアンダーラインを引いた箇所を含めて、すべて問題が解決するまで⑤の作業を繰り返す。
センテンスごとにポーズをして、Listen & Repeatをする。発音で思い違いをしている箇所を発見したら、スクリプトに④のアンダーラインとは別の印をつける。
⑦で洗い出した箇所をできるだけ正確にリピートができるまで何度も繰り返す。
もう一度、会話・トーク全体を聴いてみる。
音源なしにスクリプトを見て、音読する。
気になった箇所があったら会話・トークをもう一度聞き、⑩の作業がスムーズにできるまで繰り返す。
3)Part 5
空所に正解を入れたセンテンスを書き出します。設問に関係ない部分も丁寧に読み、文構造・語彙の両面からわからないところがなくなるまで完全に潰してください。Vocabulary Listを見ることがなくスラスラと文が読めるようになったら終了です。
4)Part 6 & Part 7
文を書き写す必要はありませんが、Part 5と同じように、パッセージ全体を意味がわからない部分がないように完全につぶしてください。
長くなりましたが、以上です。きちんとやれば、本書だけで500点を超える人も出てくるはずです。でも、「面倒だな、こんなにやらなければいけないのか」と感じている人も多いでしょう。ただ、帰国子女やネイティヴスピーカーも含めて英語のできる人は、意識していたか無意識だったかは別として、このような過程を経て、現在の英語力があることに思いをめぐらせてください。きついでしょうが、限られた時間の中で出合った英語をモノにする作業をしてください。結果は必ず出ます。それだけでなく、自分の学習で何が間違っていたのか、どうやれば引き続き英語力を伸ばすことができるのかわかるようになるでしょう。

石井洋佑氏のプロフィール
フランス語・英語の辞書編集者、及びイリノイ州での公立高校勤務を経て、現在は英語教材の執筆に携わる。著書に『ネイティブなら小学生でも知っている会話の基本ルール』『論理を学び表現力を養う英語スピーキングルールブック』(テイエス企画)、『TOEIC® LISTENING AND READING TEST おまかせ730点!』(アルク)などがある。

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