関正生(『極めろ! TOEIC® L&R TEST』シリーズ 共著者)

この本の解説を担当しました、英語講師の関正生です。
まずはこの本の外観をご覧ください。

書店でTOEICテストの対策本を求めている学習者が、この本を見たときの感想はおそらく…

「こんな分厚い本は、やりきれない…」
「2,640円(税込)は高いよ」

*『極めろ! リーディング解答力 TOEIC® L&R TEST PART 5 & 6』 :2,750円(税込)
*『極めろ! リーディング解答力 TOEIC® L&R TEST PART 7』 :2,640円(税込)
*『極めろ! リスニング解答力 TOEIC® L&R TEST』 :2,640円(税込)

こういったものかと思いますが、これが「誤解」であることはこの後で説明させていただくとして、まずは多くの学習者(特にスコア550点~700点くらいの人)が直面する「伸び悩み・スコアの停滞」の大きな原因を解説したいと思います。

TOEICテストの対策を始めて最初のうち、特に400点~500点が目標の場合は、それなりの量をこなしていけばスコアが出る人が多く、その場合は勉強の「質」を気にしなくても、「量」と「時間」が解決してくれることが多くあります。もしスコアが伸びない場合は、基礎が欠けているか、単純に勉強時間が取れていない、ということがほとんどです。

しかし550点~700点のスコアを持つ人がさらなるスコアを目標にした場合、大きな壁にぶつかってそのまま停滞してしまう人がたくさんいます。これには「質」の面と「量」の面での問題があります。詳しくお話しいたしましょう。

①勉強の「質」が低い
丸暗記やセンスに任せて勢いだけでスコアを伸ばしてきてしまった。その結果、そういったものが通用しない領域(700点以上)で立ち往生している。丸暗記の英語は時間がたてば丸忘れしてしまうので、いくらやってもキリがありません。そもそもハイスコアに必要な単語・文法などを丸暗記していくのは現実的ではありませんよね。

②勉強の「量」が足りない
一段階大きな壁を超えるために多くの勉強をしていかないといけません。ところが550点~700点のスコアを持つ人の中には「それなりにやっています」と言えるほど量をこなしている人も少なくありません。確かに、忙しい仕事の合間をぬって時間を捻出している人もたくさんいるのです。
しかしそれでもスコアは伸びません。たくさんの対策本をこなす、その姿勢自体は素晴らしいのですが、どの本も頻出パターンを載せることが多く、したがってTOEICの頻出パターンには何度も触れるため強くなるのですが、上級者の仲間入りをするための「ちょっと難しめの問題」に触れることがあまりに少ないからなのです。

では冒頭のよくある感想が誤解であることをお話しいたします。
2,640円~2,750円が高いと思われがちなのですが、コスパはかなり良い本となっています。というのも、TOEICテストの対策本は1,540円~1,980円のものが主流だと思います。ページ数は250ページから300ページくらいのものが多いと思います。
他の本を仮に1,760円と考えると、『極めろ! TOEIC® L&R TEST』シリーズは1.5倍の値段です。しかしページ数は、それぞれ、『PART 5 & 6』:752頁、『PART 7』:720頁、『リスニング』:692頁になるのです。

なので、2倍といえるでしょう。1.5倍の値段で2冊分なのです。

もちろん勉強を値段だけで考えるのはよくありませんよね。問題は中身ですが、恐ろしいほどの問題量に、おそらく他の対策本に負けない、というより他の本より充実した解説があります。「分厚くてやりきれない」と思った人も、納得しながら読み進めることで、想像以上にスムーズに進めることができるはずです。

何より、先ほど「量」のところで触れましたが、2冊の対策本をこなすと、頻出部分が重複するのです。これはもちろん「同じことに触れることによって復習になる」というメリットもありますが、ハイスコアを目指す人が求めるものではないはずです。
この『極めろ! TOEIC® L&R TEST』シリーズには、そこまで頻出ではないものの、ハイスコアを獲得するためには必要なフレーズや考え方、少し細かいことまで載っています。
「とりあえず、対策本は1冊やったけど」という人にはピッタリですし、「今はまだまだハイスコアに届かないけど、どうせならじっくりやりこんでやる」という人が1冊目に使うのもアリなのです。

余談ですが、僕は以前から「TOEICの完全対策本」とか「TOEICの教科書」的な、大半のパターンを網羅した本を書こうと思っていました。そんな中、この『極めろ! TOEIC® L&R TEST』シリーズの依頼を受けて、問題に目を通しているうちに、「これでいいじゃん」と思うようになって、今に至ります。もうすでに韓国の『イ・イクフン語学院』がその問題とリストを用意してくれていたのです。

もちろん、素晴らしい問題を提供してくれたからといって、すべてを任せたわけではありません。TOEICテスト公開試験の翌日にスリーエーネットワークに集まり、実際の問題を思いおこしながら、「常に原稿をアップデートする」というミーティングも行いました。ちなみに、スリーエーネットワークは当時の僕の事務所から徒歩5分のところにありました(今現在はなんと徒歩1分のところに引っ越しております)。
そういった全力の姿勢で作り上げた本ですし、著者としての思いを語るなら、校正の段階で信じられない量の原稿(業界用語で「ゲラ」と言います)を見たとき、「これで1冊分?」と思わず口にしてしまい、「とんでもない仕事を引き受けてしまったなあ」と思ったものでした。でもそこで、「本を初めて書かせてもらったときって、そのゲラが輝いていたんだよなあ」と初心を思い出すことにもなった、そんなきっかけをくれた思い出深い本でもあります。

僕の話をするまでもなく、読者の方々にとっても、「挑戦してやる!」という気持ちを駆り立ててくれて、ちょっとドキドキしながら書店のレジまで持っていったときの気持ちや、カフェでどーんと広げたときの、恥ずかしいような誇らしいような気持ち、そして何より、この本で得たことが本番の試験につながったとき、スコアを出したときの気持ちほど清々しいこともないかもしれません。
みなさんの人生のちょっとした思い出を担えるだけの本だと思っております。ぜひこの『極めろ! TOEIC® L&R TEST』シリーズで、目標スコアを獲得してください。

関正生先生のプロフィール
TOEIC L&Rテスト990点満点取得。
1975年7月3日東京生まれ。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学専攻)卒業。リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」講師。スタディサプリでの有料受講者数は120万人以上。スタディサプリ内のTOEICテスト対策講座では、動画講義を200本以上担当して、数万人ものTOEIC受験者に講義をしている。
著書は『世界一わかりやすいTOEICテストの英単語』(KADOKAWA)など累計200万部突破。

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