入江 泉(『きほんから学ぶ! 英検®2級 合格ハンドブック』著者)

『きほんから学ぶ! 英検®2級 合格ハンドブック』は、既刊の準2級版に続く、シリーズ第2弾となります。『きほんから学ぶ! 英検®準2級 合格ハンドブック』をすでに学習された方だけでなく、今回初めての方にとっても使いやすい内容になっています。また、好評既刊の『1日1枚! 英検®2級 問題プリント』とセットで使っていただくとより効果的に学べます。本稿では、本書の内容を紹介するとともに、試験までの間に、どの教材をどういう順番でどう学習すればよいかをお伝えしたいと思います。

◆学習の手順◆

手順1 過去問を解く

日本英語検定協会の公式ウェブサイトから、2級の試験内容と過去3回分の問題、解答、スクリプト、音声が無料で入手できます。英検に限らず、試験対策するときに最初にすることは、過去問を解いて設問形式を知ることです。昔の過去問ではいけません。最近の過去問を使いましょう。
過去問を解くとき、規定の試験時間を測って一気に全問解いてください。初めて解く場合、時間内に全部解けなくてもかまいません。特に筆記では、どれくらいの時間で解かなければならないかを実感することが重要です。

手順2 『きほんから学ぶ! 英検®2級 合格ハンドブック』に取り組む

本書は、それぞれ一次試験の筆記(大問1~3)、英作文(大問4)、リスニング、二次試験(面接)の順に、「出題形式確認」→「Let’s TRY」→「練習しよう」の3ステップで進みます。問題の形式や傾向などの基本情報や覚えるべき単語などを確認したあと、「Let’s TRY」で例題を通じて問題の解き方を生徒と先生の会話形式で学び、最後に「練習しよう」で本番形式の問題に取り組む流れになっています。

「出題形式」

「ウォーミングアップ」

「Let’s TRY」

「ステップアップ」

「練習しよう」

手順3 2級の別の過去問を解く

『ハンドブック』の学習が終わったら、「手順1」の過去問とは別の問題を解いてみましょう。学習前よりたくさん解けているはずです!

手順4 『1日1枚! 英検®2級 問題プリント』に取り組む

次に『1日1枚!』に取り組みます。本書には『ハンドブック』のような出題形式の情報や問題の傾向や解法のような解説はありません。「トレーニング」と「ミニテスト」の二部構成で、「トレーニング」編は、難易度は実試験と同じですが、設問形式を少しアレンジして負担を軽くした小問から作られていますので、『ハンドブック』を終えたあとではサクサク進められると思います。

手順5 ひたすら過去問を解く

『ハンドブック』と『1日1枚!』の2冊を終えるころにはもう、問題の形式や傾向はわかっているはずです。2冊を復習しながらひたすら過去問に取り組みましょう。語彙力が足りないなら英検専用の単語集、文法が苦手なら高校生向けの文法書などの副教材を利用してもよいでしょう。

◆語彙力の伸ばし方◆

筆記問題は、文法力よりも語彙力が重要です。そういう意味では、文法を完全にマスターしていない小学生でも、適切な語彙力があり、読んで・聞いて大意が分かれば解けると言えます。ただし、大問1の単語問題は例外で、単語を知らなければ正解できないため、ひたすら単語を覚える必要があります。ここで注意したいのは、大問1で出る単語はそのほかの大問で出る単語と傾向・レベルが異なるため、大問1で出る単語にしぼって覚えることです。そのためには、市販の単語集で大量の単語を覚えるのではなく、大問1の過去問で出た「正解選択肢」と「誤答選択肢」の全部を書き出して覚えることをオススメします。
なお、リスニングは筆記よりも語彙レベルが低いです。準2級レベルの語彙力があれば、特にリスニング対策として単熟語を覚える必要はありません。ひたすら「聞いて解く」練習をしましょう。同様に、英作文と面接の語彙も準2級レベルと同程度と言えます。つまり、試験で「書く」「話す」ために筆記レベルほどの語彙力は必要ありません。

◆英作文の対策◆

英作文は、書いた英文を先生やネイティブスピーカーに見てもらい、どこをどう直せばよいかを知ることで上達しますが、添削の機会が得られない場合は、以下の方法をオススメします。

①自分の書いた解答と解答例を比べる
 →自分のミスや、より良い表現に気づきます。
②解答例を書き写す
 →手を動かして正しい文章を書くのは効果的です。文章の構造を頭に入れましょう。
③解答例を何度も音読する
 →面接の練習にもなります!

◆面接の対策◆

面接も英作文と同様、面接委員の役をしてくれる人と一緒に試験の流れに沿って練習することが最良の方法です。もしその環境がない場合、『ハンドブック』と『1日1枚!』に収録されている音声、また過去問に附属している音声を利用して練習できます。

①自分の答えた解答と解答例を比べる
 →自分のミスや、より良い表現に気づきます。
②解答例を何度も音読する
 →正しい文章を何度も音読することで、理想的な文構造が頭に入ります。

いかがでしたか? 手順については、『ハンドブック』を読み始めて難しいと感じた方は、『1日1枚!』を先にやってもかまいません。1週間に1回のペースで過去問を解こう!1つの大問を学習し終えるたびに過去問を解こう!のような決まりを作るのもいいですね。

今回紹介した2冊は試験対策の本ですが、合格のためだけの英語学習ではなく、英語を学ぶのが楽しいと感じていただけたら嬉しく思います。

入江泉先生のプロフィール
1997年に小・中学参業界の編集者としてキャリアを始め、2005年に独立。以降、学校英語や各種検定試験の対策など幅広い教材の執筆・校正者として活動。英検においては各級の過去問の解説や対策教材の執筆を多く手がけている。5年間のニュージーランド生活を生かし、特に初級英語での実用的な英語にこだわる。2021年1月よりデンマーク在住。

英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。