『みんなの日本語』って?


本書は、『みんなの日本語』という書名が示すように、初めて日本語を学ぶ人が、だれでも楽しく学べるよう、また教える人にとっても興味深く教えられるように3か年以上の年月をかけて、企画・編集したもので、新日本語の基礎の姉妹編ともいうべき本格的な教科書です。

ご存知のように、新日本語の基礎は技術研修生のために開発された教科書であるにもかかわらず、初級段階の日本語教材として、内容が十分整備され、短時間で日本語の会話を習得しようとする学習者にとって、学習効率が抜群によいところから、現在も国内はもちろん海外でも広く使われております。

さて、近年日本語教育はますます多様化してきております。国際関係の発展に伴い諸外国との人的交流が深まる中、さまざまな背景と目的を持つ外国人が日本の地域社会に受け入れられてきています。このような外国人の増加による日本語教育をめぐる社会環境の変化はまた、それぞれの日本語教育の現場にも影響を及ぼし、学習ニーズの多様化と、それらに対する個別の対応がもとめられています。

このような時期にあたり、スリーエーネットワークは、国の内外で長年にわたり日本語教育の実践に当たってこられた多くの方々のご意見とご要望にこたえて、『みんなの日本語』を出版することとなりました。すなわち、『みんなの日本語』は新日本語の基礎の特徴、学習項目と学習方法のわかりやすさを生かすとともに、会話の場面や登場人物など、学習者の多様化に対応して、より汎用性の高いものにするなど、国の内外のさまざまな学習者と地域の特性にも支障なく、日本語の学習が楽しく進められるように内容の充実と工夫を図りました。

『みんなの日本語』の対象は、職場、家庭、学校、地域などで日本語によるコミュニケーションを今すぐ必要としている外国人のみなさんです。初級の教材ですが、登場する外国人のみなさんと日本人の交流の場面には、できるだけ日本事情と日本人の社会生活・日常生活を反映させるようにしました。主として一般社会人を対象にしていますが、もちろん大学進学の予備課程、あるいは専門学校・大学での短期集中用教科書としてもお勧めできるものです。

なお、当社では学習者の多様性と現場の個々のニーズにこたえるため、今後も引き続き新しい教材を積極的に制作してまいりますので、変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。

最後に、本書の編纂に当たりましては各方面からのご意見、授業での試用など、多大のご協力をいただきました。ここに深く感謝申し上げます。スリーエーネットワークはこれからも日本語学習教材の出版等を通じて、人と人とのネットワークを全世界に広げて行きたいと願っております。

どうか一層のご支援とご鞭撻をお願い申し上げます。

1998年3月
株式会社スリーエーネットワーク 代表取締役社長 小川巌
『みんなの日本語 初級Ⅰ 本冊』まえがきより


『みんなの日本語中級シリーズ』について

「初級日本語」は日本語によるコミュニケーションを必要としている人たちが自分の意見を相手に伝えること、相手が言ったことを理解できることが求められますが、中級ではそれに加えて、日本の文化や習慣などを理解するために必要な内容も求められるレベルだと考えます。

『みんなの日本語 中級Ⅰ』では日本語学習の中級前期(初級から中級への橋渡し)に必要な「話す・聞く」「読む・書く」の総合的な言語能力と自ら学ぼうとする力を培うことを目的としています。後に続く『中級Ⅱ』では、『中級Ⅰ』までの会話を柱にした構成から、中級後期レベルに求められる「読む・書く」を中心へと移行しています。全2冊で日本語学習の中級段階が習得できるようになっています。


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