大里秀介(『解きまくれ! リーディングドリル TOEIC® L&R TEST PART 7』著者)

この度、『解きまくれ! TOEIC® L&R TEST』シリーズに関わらせていただくこととなり、12月にシリーズ1冊目の『解きまくれ! リーディングドリル TOEIC® L&R TEST PART 7』を出版させていただきました。私自身、990点を目指していた一学習者時代に、『(旧)解きまくれ!』シリーズには大変お世話になりました。この経験や最近のTOEIC® L&R TESTを踏まえ、本書の効果的な使い方や学習法について述べたいと思います。

0.「解きまくる」という性質

問題を解きまくる、というのは以下のメリット・デメリットを持つ性質があります。
■メリット:解きまくる爽快感
本書は8セット、432問の問題が収録されています。これだけの量を一気に解いてもよし、少しずつ解いてもよし、本書のコンセプトである、とにかく解きまくって、正解は何だったかな、一致しているかな、とドキドキ・ワクワクさせながら正解を眺めてみる、結果全問正解!もしくは間違い、それも思っていた自信のある解答が間違えていた時の喪失感、そしてそれも踏まえて、さあ次!というスタンスの本は、あまりないと思います。それくらい「とにかく解きまくる」というのは、解いている自分にも、解答を覗きにいくときの高揚感含めて、TOEIC学習者であれば、そのプロセス含めてトータルで楽しめる爽快感があります。

■デメリット:一方で、「解きまくる」だけではレベルは上がらない
一方で単に問題を解くだけではレベルは上がりません。というのも、問題を読んで解く、というのは、皆さんの知識をベースにして解くわけです。つまり、皆さんの文法・語彙の知識をベースとした読解・解答スピード、によって、ある一定レベルの正答率・つまりリーディングスコアで〇〇点におさまる正答率に集約されていくはずです。NOT問題や複数文書参照のクロスリファレンス問題については、苦手な方は解きまくるだけは、問題の形式には慣れると思いますが、正答率が上がるかどうかは別問題です。

以上を踏まえ、効果的に学習する方法をいくつか提示したいと思います。

1.現状を把握する

まずは「解きまくる」ことで現状を把握しましょう。現状を把握するというのは、苦手分野を把握するだけではありません。自分の得意・不得意なトピック、問題は何か、というのをしっかり洗い出しましょう。解くことで正答率が出るはずですので、正答率に応じて改めて認識しておくことは重要なことです。また、みなさんの中には、攻略本を既に実施してから取り組まれる、という方もいらっしゃるかもしれません。その場合、取り組まれる前に、自分の強みと弱みを強く意識して解くことをオススメします。

2.強みのブラッシュアップ

強みのブラッシュアップとして、特定のトピックや問題の種類がなぜ正解しやすいか、認識しておきましょう。
たとえば、仕事で英語でのEメールのやりとりを頻繁に行っているからメールが得意、という方もいるでしょうし、ネットショッピングで海外のサイトで購入されている方なら、広告や購入したリスト・請求書は読み解きやすいかもしれません。スポーツサイト等の英語記事をふだんから読んでいれば記事にも強い、という方もいるでしょう。その場合、強みのブラッシュアップとして、この分野は少し早めに問題を読んで解くことを意識しよう、といった自分なりの強みの更なるブラッシュアップを目標に置くことが出来ます。強みのブラッシュアップは自分で最初から設定しても構いませんし、問題をある程度解いてみて把握してからでもかまいません。

3.弱みの強化

弱みの強化として、苦手なトピックや問題をピックアップしましょう。最初に解く時に、これは苦手なトピックだ、問題だ、というのはチェックしておくのが効果的だと思います。まずは1つのセットや問題を解き切ることに重きをおきましょう。それによって「解く爽快感」を優先しながら、プロセスとして一度やり切る楽しみを感じて克服することが出来ると思います。一度やり切った後は1問ずつじっくり問題にあらためて取り組んでみてください。そして解答するためのプロセスを自分なりに書いてみましょう。たとえば、この問題のポイントはこうで、自分はこの解法で解いた、という方法と、実際の解説の比較をしてみて、あ、自分にはこの視点が足りなかった、この記載と選択肢が一致していると思い込んでいた、という気づきがわかり、次からはこのような語彙や文法、言い換え表現には気を付けよう、ということになり、次に同じような問題を解く場合に改善を図ることが出来ます。

4.時間管理をする

強み・弱みについてカバー出来たら、時間管理にも目を向けましょう。トータル時間として読むのにどれくらいかかったか、解答するのにどれくらいかかったか、を毎回意識・記録するようにしましょう。1題・1セット問わず、一定数の問題をどれくらいの時間で読んで解くか、を認識することはとても重要なことです。特に本番の体内時計として無意識に、これくらいで解けば〇分かかる、という感覚を身に付けると本番でも集中力を持ってじっくり取り組むこともできます。繰り返し解く場合は、時間管理しながら、少し早めに読んで、もしくは敢えてゆっくり読んで「しっかり表現やストーリーが頭に鮮明に入ってくるか」意識することも重要です。これにより、似たような問題を解くときにどこが一緒で、どこが異なるか識別しやすくなります。

5.感情を意識し、コントロールする。

全問正解出来た際には素直に喜び、間違えた際は悔しがりましょう。特に、明らかにわからない問題であれば挑戦者の気分で、次は絶対に克服する気持ちを持ち、自信ある問題を間違えた(落とした際は)本気で悔しがることが重要です。特に夢をかなえたい場合は、本気で勝負するからこそ、喜びはより大きなものになります。とはいえ、本番で感情をむき出しにして臨むのは、時にリスキーにもなりますので、練習の際に一喜一憂しながら、本番では感情をコントロールするようにしましょう。

いかがでしたでしょうか? 『解きまくれ!』シリーズは、たくさん問題が収録されているぶん、全部征服してやろう!とか弱点克服してベストスコアを達成しよう!といった、みなさんの夢や野望を込めやすいような作りになっています。今までの述べてきたのはあくまで提案にすぎませんが、みなさんなりのやり方をカスタマイズして、是非目標スコアを達成し、夢や希望を叶えて頂くことを願っております!

大里秀介先生のプロフィール
TOEIC® L&Rテスト990点、TOEIC® S&Wテスト ライティング200点満点取得の経験を持つ現役サラリーマン。
2006年から英語学習を開始して、2007年スコア730点を突破、社内選考でイギリス留学を経験する。2012年からカナダに駐在勤務し、北米間の大ビジネスプロジェクトをTOEICで磨いた英語力を駆使して成功に導く。
著書に『3週間で攻略 TOEIC® L&Rテスト900点!』(アルク)、『TOEICテスト新形式完全攻略模試』(学研プラス)、『TOEIC® L&Rテスト 壁越えトレーニング Part 7』『TOEIC® L&Rテスト 壁越え模試 リーディング』(旺文社)、『極めろ! TOEIC® L&R TEST 990点 リーディング特訓』(スリーエーネットワーク)などがある。

TOEIC is a registered trademark of ETS. This website is not endorsed or approved by ETS.