森田鉄也(『極めろ! TOEFL iBT® テスト リーディング・リスニング解答力』共著者)

本書ができるきっかけ

TOEFL iBTの参考書は、単語帳はものすごくたくさん販売されているのですが、問題集は、ほとんどありません。また初級者向けの本はいくつか出ているのですが、日本語で書かれた上級者向けの問題集はほとんどありません。上級者は英語で書かれた大型で分厚い海外の公式教材や問題集をやることが当たり前とされています。また、リスニングやリーディングはTOEFLに特化した参考書を使わなくても英語力を上げれば解けるようになると思っている人も多いのが現状です。しかし、実際はそう簡単にはいきません。そこで誕生したのが『極めろ! TOEFL iBT® テスト』シリーズです。TOEFL iBTのリスニングやリーディングは、どういった形式の問題が出題され、どのように解答したら良いのかを知らないと攻略に非常に時間がかかってしまうテストです。そういったことから、TOEFLで高得点を目指す方々に向けて対策本を作るというプロジェクトがスタートしました。しかし、それは長い道のりでした。これまでにTOEIC対策本を多く執筆してきましたが、かかる時間と労力が全く異なっていたからです。

質の高い問題

まずはTOEFLに精通している著者を集めるということからスタートしました。僕、森田に加えて、TOEFLのオンライン学校を経営している山内勇樹先生、TOEFLマニアの予備校講師:日永田伸一郎先生でタッグを組み問題作成から始めました。頻出テーマの中から本に掲載すべきトピックを著者3人で選び、山内先生とネイティブたちで問題が作成されました。その後それを著者3人で話し合い、より良い問題にしていきました。途中、出題形式の変更がTOEFLの問題を作成しているETSから発表され、頭を抱えましたが、めげずに問題を改編し、完成に漕ぎ着けました。問題を完成させるだけでもTOEICの参考書1冊が完成するくらいの時間と労力がかかりました。

受験者のためになる解説の執筆

多くのリスニング・リーディングの参考書は解答の根拠となる部分が指摘されており、「選択肢はその部分をこう言い換えています」で終わるものが多いです。しかしこの本では、解答に至るプロセスが細かく書かれています。どのように著者たちなら文章を読んでいくのか読み方が実況中継されています。そして、リーディングであれば精読するポイントの解説が詳しくなされています。文構造の解説・TOEFLにおいて重要な単語や表現の解説も充実しています。

解答に至るプロセスを解説

解説では、著者の頭の中ではどういったことが行われているのか解答プロセスを見ることができます。特にリーディングでは、設問がどのようなことを問うているのか、それに合わせ本文をどう読み進めていくのか、選択肢と本文をどのように比べて正解を導き出すのかがわかります。ここまで学習者目線に立った解説は非常にめずらしいです。

これによりどういった考え方をして読み進めて行けば正解にたどり着くことができたのかがわかります。

さらにリスニングでは、著者のメモを掲載しています。僕は、メモを取るという行為は解答の時に使う情報ではなく、流れてくる音声の内容を整理して記憶をするのを助けてくれるものだと考えています。本書では実際に著者が書いたメモを見ることができるので。どういったメモを取り記憶に残しているのかがわかります。

文構造の解説

TOEFL iBTではとても高い精読力が求められます。単語が難しいだけでなく、文構造も複雑な文章が出てきます。英語と日本語は語順が違うため、前から順を追って全てを理解するのはなかなか大変です。さらに、問題を解くときにはその難解な文章の細かい部分まで正確に把握し、選択肢と見比べなければなりません。なんとなく英語は得意だけれど構文解析の勉強をしたことはない人はここでつまずいてしまい、リーディングの点数がなかなか伸びないことがあります。そこで本書では、複雑な構文を、解説しています。

単語や表現の解説

文章中に出てくる重要な単語や表現がたくさん解説されています。解説されている表現の数が多いことも特徴ですが、プラスアルファの解説が加えられているものもあり記憶にも残りやすいです。

知らない表現は読めないですし、聞こえません。単語力を上げていくのは、いかに多くの表現と出会い、覚えていくかです。単語帳でTOEFLに出てくる単語を全て覚えることは不可能です。読みながら、聞きながら日々増やしていきましょう。

パソコンを使って疑似受験

TOEFL iBTはパソコンを使って受験する試験です。普段は紙ベースで勉強している人が勝手の違いに驚くことも少なくありません。本書はパソコンを使ってWebテストを受講することも可能です。ページをめくりながら解くのではなく、本番さながらにTOEFL iBTのようにパソコンの画面をスクロールしながら解いていくことを体験したい方はぜひこちらをご利用ください。

こうして苦労の末に出来上がった本が『極めろ! TOEFL iBT® テスト リーディング・リスニング解答力』です。多くの人が多くの時間をかけ完成させた作品です。ぜひその努力の賜物を余すところなく利用してください。そして必ずや目標点を達成してください!応援しています!

森田鉄也先生のプロフィール
武田塾教務部英語課課長、武田塾国立校オーナー。株式会社メタフォー代表取締役。慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒。東京大学大学院言語学修士課程修了。TOEFL iBT115点、ITP660点、TOEIC L&R TEST 990点(90回以上)、TOEIC S&W400点、国連英検特A級、英検1級、ケンブリッジ英検CPE、英単語検定1級、通訳案内士(英語)、英語発音検定満点、TEAP満点、GTEC CBT満点、IELTS 8.0、日本語教育能力検定試験合格。英語教授法TEFL、CELTA取得。『TOEIC TEST 単語特急 新形式対策』(朝日新聞出版)、『ミニ模試トリプル10 TOEIC L&R テスト』(スリーエーネットワーク)など著書多数。

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