工藤郁子(『テーマ別 ミニ模試20 TOEIC® L&Rテスト リスニング』共著者)

TOEIC® L&Rテスト(以後TOEIC®テスト)では、ビジネス英語の力が試されると一般的に考えられています。しかし、詳細な交渉や踏み込んだ協議の内容、特定の業界における専門的な内容などについて問われるわけではありません。TOEIC®テストに登場するのは、一般の人が日常生活や職場などで遭遇する場面のごく一部なのです。乗る予定の飛行機が遅れる、アパートの排水管が詰まる、会議室のプロジェクターが壊れる、地域のイベントのために一時的に道路が閉鎖される、などはTOEIC®テストに頻繁に登場する場面です。共通するのは小さなトラブルの発生であり、必ず解決に向けたアクションが起こされると決まっています。このような頻出の場面やテーマを私は「TOEICあるある」と呼んでおり、テストを受けるにあたって強力な武器になると考えます。なぜなら、頻出テーマをまとめて学習することで背景知識や関連語彙が身につき、状況をイメージして解答することが容易になるからです。英語力と「TOEICあるある」の知識を同時に身につけ、TOEICスコアアップへの大きなステップを踏み出しましょう。

1.『テーマ別 ミニ模試20 TOEIC® L&Rテスト リスニング』の特長
1)TOEIC®テストの頻出テーマを20に絞り込み、Day 1からDay 20までテーマ別に各16問のミニ模試を作成しました。
パート1 1問
パート2 3問
パート3 2セット(6問)
パート4 2セット(6問)
という構成で、約10分で1日分が完結します。時間的にフル模試(200問/2時間)を解くことが難しい人でも短時間でリスニング全パートの学習が可能なので、毎回パートから次のパートへの頭の切り替え練習ができます。また、1日分の量が少ないため、途中で挫折せず終わらせることができ、達成感を得られることも利点です。大学や専門学校の授業、企業内研修などで取り組むにもちょうどよい量です。

2)20のテーマは、TOEIC®テストを130回以上受験している著者が厳選しました。Dayごとに「トラブル対応」「チャリティー・支援」「工事・建設」など、頻出の場面に関する問題に触れることで、同じようなトピックや話の流れ、単語やフレーズ、またその言い換えなどを整理しまとめて学習できます。解答の際にヒントとならないよう、あえて問題冊子に各Dayのテーマは載せていません。解答・解説編には各Day最初のページに以下のようにテーマと簡単な説明があります。

3)可能な限り丁寧な解説を心がけました。例えばパート2(短文応答問題)では3問のうち1問を平叙文(疑問文ではなく、単なるつぶやき)問題とし、最近の傾向として多い「問いかけに遠回しに応える」タイプの応答も含めています。このような訳だけを見てもなぜ正解なのか分かりにくい問題でも、解説を読むことで設定場面の理解を深めることができるでしょう。

4)解説とは別に「つぶやき」欄を設けました。その問題と関連した内容で、知っているとお得な情報や学習法、私たち著者が実際に授業で話していることなどを所々でつぶやいています。


2.『テーマ別 ミニ模試20 TOEIC® L&Rテスト リスニング』の活用法
英語力をアップし「TOEICあるある」の知識を高めるには、問題を解いた後の学習が重要な鍵となります。問題を解き、答え合わせをし、解説とつぶやきを読んだ後は、次の学習方法を参考にして取り組んでみてください。

1)ディクテーション(全パート共通で英語力アップに効果的)
1文ずつ音声を止めて、聞き、書き留める学習方法。
・聞き取れない場合は何度も繰り返し、最終的にどうしても聞き取れない部分はスペースを空けておく。確信が無い部分には下線を引く
・これ以上無理というところまで繰り返し聞いて書き留めたら、自分の書いた文をじっくり読み返す。「こう聞こえたけど、文法的におかしい」と気づいた部分があれば、青ペンで下線を引き上下のスペースに正しいであろう内容を書く。例えばWe always busy on Friday. と聞こえたが、We’re always busy. のはずだと気づいた場合、青で「’re」を書き足しておく。
・解答・解説編のスクリプトを見て答え合わせをし、違う部分は赤で線を引き、正しい内容を書く。聞き取れなかった理由は「単語やフレーズを知らなかった」「自然な速度で話された時に起こる音のつながりや変化に気づけなかった」「単純に聞き取れなかった」のどれだったかをチェックし、再度音声を聞いて確認する。We’re always busy on Friday. と書いたが正しくはWe’re always busy on Fridays. の場合、単にsの音をキャッチできなかったとも考えられるが、文法知識があれば青でsを書き足しFridayを複数形にできたはず、と気づくことが重要。

2)音マネ(全パート共通でリスニング力アップに効果的)
スクリプトと和訳を読み、意味を理解した上で音声を聞いてマネするつもりでリピートする学習方法。
・自分の発音を録音し、元の音声と聞き比べる。
・正しい発音を確認し、可能な限り近づけるまで繰り返しリピート。
・自然に発話される際に起こる音のつながり、脱落や変化、発音、イントネーション、強弱、速度など全てをマネするつもりで納得できるまで繰り返す。

3)テーマに沿った語彙・場面のイメトレ学習
スクリプトをじっくり読み、テーマに関連するキーワード(単語やフレーズ)に下線を引いて、知らない語は調べる。キーワードが使われている場面や状況をイメージして音読する学習方法。
・例えば出張がテーマのパート2  
 Q: Have you submitted your reimbursement form for your last trip to London?
 A: Still working on it.
 「前回のロンドン出張の際の経費精算申請書は提出しましたか?」
 「まだ作業中です」

という質問と正答のペアであれば「reimbursement formは、出張費用を立て替えた人が後日会社に請求するための用紙」だと理解した上で、「用紙はsubmitするもの」「tripはビジネスでは『旅行』ではなく『出張』」を意識する。「期限が迫っているため提出の確認をしたのかな。答えた人は期限に間に合わせようと焦っているのかも」など、できる限り具体的な状況を思い浮かべながら話し手になりきって音読を繰り返す。パート3&4では和訳をじっくり読み、設定場面や話の流れをつかんでから上記の学習をすることでさらに効果が上がる。

特に大学生などビジネスシーンを実体験と結びつけることが難しい人は、明確にイメージする練習が有効です。背景知識を学ぶことで、未知の世界について予習ができるでしょう。社会人であれば経験と重ね合わせたり自分の職場との違いを認識することで、より鮮明にイメージを頭に定着させることができるでしょう。テーマごとのイメージトレーニングで、TOEIC®テストに対するストレスを少しでも減らし、スコアアップに結びつけることができるよう願っています。

工藤郁子先生のプロフィール
自動車部品メーカー勤務、英会話講師を経てTOEIC指導者に。現在は主に企業、大学などでTOEIC講座や個別のニーズに合わせたTOEICを指導し、解き方理解と英語力アップを二本柱とした学習法を提案している。共著に『TOEIC® テスト基本例文700選』(アルク)、『TOEIC® L&Rテスト基本単語帳』(研究社)、解説執筆に『TOEIC® L&Rテスト究極の模試600問+』(アルク)など。